滲む

ふとした瞬間に
かなしみが滲む

穴なら
塞いだはずなのに

どこから
滲み出るのだろう

 

ここかな
とまた塞いでみる

塞いだところで
また滲むことくらい

とうに
わかっているけれど

(『汀の虹』二.海霧より)


秋になると、辛い記憶がぶり返します。
がんにならなければ、
出産予定月だったからです。

『汀の虹』第二部.海霧の三篇目にあたる
この「滲む」という詩は、
その気持ちを言葉にしたものでもあります。

塞いだところでまた滲む。
その滲みから『汀の虹』は生まれました。

この本を手にとってくださった人も、
言葉にできない滲みを抱えて
生きているかもしれない。

そんな想いをこめて、この詩を贈ります。